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シナリオ*せたがやたがやせ完全版11話

シナリオせたがやたがやせ完全版

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全国の月刊現代農業ファンの皆様!!月刊現代農業12月号が発売されましたよ~!!
「せたがやたがやせ」もとうとう最終話になりました。
無事に一年載せられたのも編集部のYさんのおかげです。
Yさんには「おんぶに抱っこに肩車にお姫様抱っこ」くらいお世話になりました。ありがとうございました。
映画の告知もして頂いたのにも関わらず私の力不足で、コンクールはボツだったし、残念な結果となりました。無念!!
さて、今月の特集は「やるぞ 自分のお米で米粉!」です。
小麦粉に頼らずに米粉で作るおいしいもの。パンやうどんやお菓子だけじゃない、いろいろなレシピが載っています。
そう言えば、表紙を開いていきなり「パソナグループ」の広告が掲載されていて驚きました。
パソナは大手町のビルの地下で稲や野菜の栽培しているのが時々ニュースで取り上げられいてる人材派遣の会社です。
実は私、ここに飛び込みで見学に行って「シナリオせたがやたがやせ」の売り込みに行ったことがあります。
突然来た変な奴にも関わらず、とても丁寧に応対して下さったナイスな会社でしたよ。
あのときは失礼しました~。
せたがやたがやせ第11話
○テレビ映像・天気予報天気図
アナウンサー「現在台風一四号は東海地方に近づいています。明日の午後には関東地方も最も風雨が強くなる見込みです」
○堤下家・居間(夜)
  愛子と健人が心配そうにテレビを見ている。
健人「稲、大丈夫かな?畑、大丈夫かな?」
愛子「そうね。心配だわ。でも、こればかりは自然のことだから仕方ないわよ。満作先生が昨日のうちに支柱を立ててたりしていたから、きっと大丈夫よ」
○翌日・台風直撃の畑(朝)
  バラバラのテントがある。満作はいない。
         続きは追記をご覧下さい↓

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○煉瓦屋・前(朝)
満作「こんな朝早くやってないよなぁ」
  店の前に座り込んでいる。
○堤下家・玄関
  玄関に健人と愛犬のエコがいる。
愛子「いい?ママはこれからお仕事があるの。絶対、表に出ちゃだめよ。エコも健人のこと監視していてね」
エコ「ワン!!」
○同・田んぼ
  風で波打っている稲。
○同・畑
  強い風に倒れているピーマンの木。
○堤下家・玄関     
  カッパを着て長靴を履いている健人を見て吠えたてるエコ。
健人「大丈夫、すぐに戻ってくるから。畑と田んぼを見に行ってくるだけだから」
  外に飛びだす健人。
○同・大輔の部屋
  ヘッドフォンで音楽を聴きながら、農業ゲームに夢中な大輔。
  エコの鳴き声に気が付かない。
○同・畑
  強風になぎ倒されているピーマンの苗を見て立ちすくむ健人。
健人「ピーマンが・・せっかくこんなに実がたくさんなったのに・・可哀想」
泣きじゃくっている。
○同・田んぼ
  強風に波打つ稲を見つめている太陽。
○道路
  カッパを着た太陽の母、必死に太陽を探している。
太陽の母「こんな台風の中、太陽ったらどこへ行っちゃったのかしら・・困ったわ(何かを思い出したようにハッとする)」
○回想ー田んぼ
太陽の母「この稲は水も大事だけど太陽も必要なのよ。太陽って人間にも植物にも絶対必要なものなんだからね」
翼 「じゃ天気の悪い時は太陽がここに来てあげればいいんじゃん」
太陽「(頷く)」
○堤下家・畑
  喘息の発作のためゼーゼーしながら座り込んでいる健人。
  トボトボ畑に向かって歩いて来る太陽。
  座り込んでいる健人に気付く。
太陽「(声のない叫び)」
○同・田んぼ
福太郎「(茫然と田んぼを見て)この倒れた稲でいくつおにぎりが作れるのかな・・」
○道路
  太陽の母、立ち止まる。
太陽の母「聞こえる・・太陽が叫んでる」
○道路
  健人を抱きかかえる太陽。
  家に連れて行こうと、健人を必死に引きずっている。
健人「ピーマンを・・・助けて・・」
太陽「(悔しくて泣けてくる進めない)」
そこへ福太郎が走ってくる。
福太郎「太陽!健人!どうしたの!」
太陽「(必死に家を指差す)」
福太郎「わかった!(太陽に手を貸す)」
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○堤下家・大輔の部屋
  ヘッドフォンを外す大輔、エコの吠える声に気が付く。
大輔「どうしたんだ?」
○階段~玄関
  階段を降りて来て。
大輔「どうしたエコ。誰かいるのか?」
玄関を開けると飛びだすエコ。
大輔「待て!(自分も靴を履いて表に出る)」
○同・畑
  太陽と健人と福太郎を見つけ吠えるエコ。  
  エコに追いついた大輔。
大輔「健人・・・」
福太郎「兄ちゃん健人を助けて!」
  太陽たちをみつけた太陽の母も駆け寄る。
太陽の母「太陽!!」
○救急車・車内 
  酸素マスクをしている健人。
  太陽と福太郎も毛布を巻いて座っている。
健人「大輔・・兄ちゃん・・・」
大輔「健人!しっかりしろ!ママにも連絡したからすぐ来るぞ」
健人「野菜たちみんな助けて。ピーマン嫌いなんて二度と言わないって約束するから」
大輔「分かったから何も心配するな!」
健人「でもお兄ちゃん外に出るの嫌でしょ」
大輔「こんなに畑を愛している健人を見て、引きこもっている自分が恥ずかしいよ。大丈夫、俺が野菜を守るから安心しろ」
健人「(ホッとして瞳を閉じる)」
○病院・玄関 
  到着した救急車。待っている愛子。
愛子「健人!健人!」
大輔「大丈夫だ、命に別状無い。後は頼んだ。俺、帰るから」
愛子「健人が死にそうなのに帰ってゲームするの?アンタなんか!アンタなんか!!」
○堤下家・畑
畑に戻っている満作が、何も知らずに倒れた野菜を立て直している。
  そこへ大輔が駆け寄り、満作の手伝いをはじめる。
○病室
  ベットの健人。
愛子「健人・・可哀想に・・。大輔が見ていてくれないから・・」
健人「兄ちゃんは悪くないよ。僕がピーマンが心配で畑に見に行っちゃったんだ」
愛子「あんなに嫌いなピーマンのために畑に行ったの?死ぬかも知れなかったのよ?」
健人「ごめんなさい。ピーマン嫌いなんてもう言わない。だから大輔兄ちゃんが僕の替わりに野菜を守るって約束してくれたの」
愛子「それで慌てて帰って行ったのね・・・」
○白薔薇幼稚園・園庭(翌日・朝)
登園してくる園児たち。
  園庭から畑に満作の新しいテントが建ててあるのが見える。
福太郎「結局またテントなの?」
満作「煉瓦屋に行ってみたけど、考えてみたら俺はここずっといるわけじゃないのに、煉瓦の家を建てるわけにはいかないだろ」
福太郎「(ショック)先生・・どこかに行っちゃうの?」
満作「あぁ、どんなに小さな土地でも、耕すところがあるなら、そこに行く」
太陽・福太郎「(複雑な表情)」
○堤下家・畑
  台風が去った後の畑。
  無惨に折れた枝、落ちた実が転がっている。
  園児達、茫然と見ている。
翼 「満作先生・・野菜たち可哀想・・」
福太郎「満作先生、これ食べられないの?」
満作「大丈夫、洗えばちゃんと食べられるよ」
潤 「じゃ拾ってあげようよ」
  園児たちスモックを広げて落ちた野菜を集めている。
香織「泥が汚いって言ってたあの子たちが」
○堤下家・畑(1週間後)
  野菜を収穫している園児たち。
  健人、太陽、福太郎、嬉しそうにザルに野菜を入れていく。
  白薔薇幼稚園収穫祭の看板。
  バーベキューの支度をしている母親たち。
  翼の父、彩の父、潤の父が餅つきをしている。
  子供たちも手伝っている。
満作「みんな!いただきますの意味って知ってるかなぁ?」
園児たち「知りませ~ん」
翼の母「知ってます?」
彩の母「知りませんわ」
満作「野菜も米も牛もブタも魚もみんな生きています。命があるんです。命をいただくという」
時江「(満作の言葉を遮って)いだだきますは、いのづのあるものを食べるこどに対すて人間が敬意を表すて言うんだよ」
満作「時江ちゃんに先に言われちゃった」
園児たち「(笑い)」
満作「そういうことです。わかりましたか?」
園児たち「わかりました~」
満作「野菜は一時間単位で鮮度と味が落ちると言われています。皮の剥いてあるトウモロコシなどは十分ごとに味が変わります。刈り取った野菜の味は食べてみれば、はっきりと分かりますよ」
香織「それではいただきましよう!」
園児「いただきま~す!!」
健人「美味しい!このピーマンシャキシャキしてるよ!」
満作「補足すると、このいただきますはキリスト教では神様に、仏教圏ではお釈迦様に、イスラムではアラーの神に食べ物を与えてくれてありがとうと言う意味で言いますが、日本だけが宗教性がないんですよね。日本のいただきますは神様じゃなくて生き物に感謝しているんです」
母親たち「へぇ~」
翼の母「(寂しそうに)稲刈りが終わったら満作先生の農業ウンチクも聞けなくなりますね・・」
彩の母「最初はただの変人だと思っていましたけど。不勉強の私たちにたくさんのことを教えていただきました」
潤の母「この幼稚園の専属の指導員になって下されはいいのに」
満作「そう言っていただけると嬉しいですけど、まだ第一歩ですから、僕の野望は日本中の大人から子供までみんながMY鍬を持つこと何です」
母親たち「私たちもMY鍬持ってます」
満作「(何か思いついて)そうだ!バレンタインにチョコを贈るように好きな人に鍬をプレゼントするってどうかな?クワだから9月8日!丁度稲刈りも近い時期でいいなぁ。梅津商店ディなんて、グットアイディアじゃないっすか!」
偶然通りかかって満作達の会話を耳にする香織。
香織「9月8日梅津商店ディ・・。好きな人に鍬を贈る・・(勘違いしている)」
翼の母「梅津商店ディ・・ですか・・」
満作「鍬のお返しには十月九日だけに!トラクター!」
彩の母「トラクターを貰ってもねぇ」
潤の母「ちょっと困りますわねぇ」
満作「じゃ、トマトクリップ!」
翼の母「あの野菜の誘引作業に使ったやつ?」
彩の母「何か貧乏臭いですわ・・」
潤の母「じゃ義理鍬にはトマトクリップをお返しにして本命の人には好きと鋤をかけて鋤をお返しっていいんじゃありません?」
満作「それ完璧ですね。俺、大日本鍬協会に薦めに行ってこよう」
翼の母N「この人本当にやるから恐い」
満作「携帯電話を貸していただけますか?」
彩の母「えっ?ど、どうぞ」
満作「(彩の母の携帯で電話を掛ける)もしもし大日本鍬協会ですか?」
翼の母「やっぱり・・・」
○餅料理が並ぶテーブル
○堤下家・畑
松井「おぉ!ずんだ餅だ!くるみ餅も!ゴマもある!」
時江「いいがらいっぺえあがいん」
松井「(泣けてくる)母ちゃん・・・もう一生、食えないと思ってた・・・母ちゃん ありがと・・美味い・・美味いよ」
松井が感激している横で、福太郎が凄い勢いで餅を頬張っている。
時江「ふぐたろうっこの!ほいなぬ食うなっちゃ!このいやすっこ!」
福太郎「何?」
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○泰造の家・玄関
ー九月八日ー
  玄関に香織が立っている。
  家の中から泰造が出て来る。
泰造「香織さん!どうしたんですが!こんな田舎にわざわざ!」
香織「今日、何の日かご存知ですか?」
泰造「(必死に考えて)えっと・・フランス革命・・?いや、かいわれ大根の日?それは十八日だ・・とすると・・」
香織「鍬の日ですわ」
泰造「・・?そんな日ありましたっけ?」
香織「好きな人に鍬をプレゼントする日です」
泰造「好ぎな人と申しますと、どなたに」
香織「泰造さんです」
泰造「俺!いや、ぼ、僕ですが!僕なんかあなたのような美しい方と不釣り合いですよ!言葉の壁とか生活習慣の違いとか!」
香織「それでしたら、満作さんに教わってきました。(咳払いして)おめと一緒だと、心がぬぐまるんだっぺ!」
泰造「(唖然)」
香織「間違ってます?」
泰造「(苦笑いで)発音が少し違うけど、ちゃんと通じてます」
香織「良かったぁ。で、お返事は?」
泰造「おらもおめのこと、おらほのよめさまにしてぇけど、おらみてぇなごしゃぺのでれすけでもいいんだっぺか?」
香織「(うるうる)ぶっこいてないですか?」
泰造「ぶっこく?!嘘なんか言うわけねぇでしょう!香織さんはおらのハートをかっぱらってしまったから・・・香織さんが帰ったあとはたますいが抜けてしまって!」
見つめ合う二人。
  いいところに、奥の部屋から泰造の祖母が独り言を言いながらやって来る。
婆さん「けつめどかい~がら東京火事だっぺ」
泰造「婆さん!何言ってんだよ!」
香織「けつめど?それは何ですか?」
泰造「何でもありません!」
香織「教えて下さい!」
婆さん「けつめどが何かって?そりゃおめぇ尻の穴だっぺよ」
香織「(赤くなる)」
泰造「(その場に崩れる)くそババァ」

シナリオ*せたがやたがやせ完全版10話

シナリオせたがやたがやせ完全版

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全国の月刊現代農業ファンの皆様!!月刊現代農業11月号が発売されましたよ~!!
いや~早いもので、「せたがやたがやせ」も残すところあと二話でお終いです。
今月の特集は「たいしたもんだ皮の力」ということで、野菜や果物の皮の利用法が載っております。
私が気になった記事は、温風乾燥機「まわる君」。
回転させて乾燥して干し柿、ドライフルーツ、干し芋ができるんだけど「まわる君」というベタなネーミングに目がとまりました。
それに去年の暮れお世話になった宮城県大崎田尻の記事も載っていました。田尻営農センター長さんの写真も載ってます。
センター長さんの農業に対する真摯な姿勢と田尻を愛する熱い思いに感動したのが昨日のことのようです。
田尻のみなさんお元気ですか~!また行きたいよ~!!
私の「せたがやたがやせ」は354ページに載っています。ヨロピク!!
そういえば「せたがやたがやせ」の中にも登場する茨城県石岡市をテレビ朝日の「人生の楽園」という番組で取り上げていました。
せたがやたがやせ第10話
○白薔薇幼稚園・ランチルーム
  給食の準備ができて、席に着いている園児たち。
  園児たち、にやにやしている。
福太郎「珠美先生、満作先生と太陽を連れて来ました」
珠美「ありがとう福太郎君。満作先生と太陽君席について下さい」
  満作と太陽、顔を見合わせる。
  トレーを持った調理のおばさんがしずしずと教室に入って来る。
調理のおばさん「こちらが本日のメニューです。召し上がれ(満作と太陽の前にトレーを置く)」
満作「どうしてですか?」
調理のおばさん「満作先生と太陽君が休んでいる間に、とうとう完食を達成しました」
翼 「僕たち、もうお残ししないよ」
健人「全部食べられるようになった」
福太郎「僕も」
彩 「福ちゃんは、野菜意外は残したことがないじゃない」
園児たち「(笑う)」
珠美「全員そろいました。頂きましょう!」
園児たち「いただきま~す!」
○同・調理室
  カラになった鍋を嬉しそうに洗う調理のおばさん。 

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○堤下家・田んぼ
満作が草取りをしている。
田んぼの横を郵便配達が通る。
局員「満作さん!速達です」
満作「ごくろうさまです(受け取る。その文面を見て驚く)何っ!!」
○速達郵便
  ー穂が出たら速やかにスズメ対策をするべし 秀次ー
○堤下家・田んぼ
伝言板。
 ー明日、防鳥ネットを張るお手伝い出来る方、十時に集合。何とぞ宜しく 満作ー
○同(翌日) 
  沢山の人が田んぼに集まっているのを見て驚く満作。
  その中に翼の父もいる。
○同
杭を打つ翼の父。
  防鳥ネットを広げる保護者、伊藤、地域の人達。
康夫の乗った高級車がその横を通って行く。
○車の中
運転手「社長、随分賑やかですね」
康夫「まったく困ったもんだ。これから祭でもはじまるみたいだよ」
  言いながら顔はほころんでいる。  
○バス停
  バスを待つ健人と潤。
  通りを走る車を見ている。
健人「潤!来た!来たよ!」
  黄色の車が健人と潤の前を通り過ぎる。
健人・潤「(車を指差して)スーパー黄色!スーパー黄色!スーパー黄色!」
  他のバスを待つ人達が呆気にとられる。
○バス車内
  バイオリンを抱えた健人と潤が座っている。
健人「実際野菜を育ててみると、化学合成農薬や化学肥料を使用しないことは安全だと思うけど、現実的に大変だよね」
潤 「病気や害虫との戦い、除草も大変だよ」
健人「最近、テレビや雑誌で農業が取り上げられているとつい見ちゃうんだ」
潤 「そうそう。前はさ、将来、ヒルズ族になりたいとか思ったけど、この頃、過疎化や高齢化とか考えると日本の農業が心配になるよ。ネット系業界や外資系希望している人は五万といるけど農業は後継者不足だからね。誰かがやらないといけない。それに満作先生を助けたい」
健人「僕もだよ。だけどそう考えるとバイオリンなんか習う意味あると思う?」
潤 「う~ん。でもほら、野菜にモーツァルトを聞かせると味が良くなるとか言うし、畑の真ん中で弾くのもいいんじゃない?」
健人と潤の会話を聞いていた小学校の教頭大淵が二人を見て驚く。
大淵N「何だ、幼稚園児じゃないか。(帽子の校章を見て)白薔薇幼稚園の生徒か」
○バイオリン教室
  稽古が始まる前に健人と潤がコンビニのおにぎりを食べている。
バイオリンの先生岩崎が二人の横に座る。
岩崎「まぁ、三時のおやつにおにぎり?」
潤 「畑仕事してから来たからお腹が減っちゃって」
岩崎「畑仕事って・・・」
潤 「先生知ってる?コンビニ1店から出る生ゴミは年間4~5トンなんだって」
健人「僕も新聞で見たよ。いろいろ問題になっていたけど、改善するために企業努力をしているみたいだよね」
潤 「食べ残すことに罪悪感を持ってる子供は4割以上、中学生より小学生の方が罪悪感が強いんだって」
健人「テレビ番組なんかで大盛りの店を回って、食い散らかしているのを見ると、大人が食べ物を粗末にしちゃいけないって教えなくちゃいけないのに」
岩崎「健人君の言う通りだよね。先生もあぁ言うのは良く無いと思う」
健人「大人がそんなことして、子どもが罪悪感を持つなんて日本って変な国だね」
岩崎「おっしゃる通り・・・」
潤 「ある調査で箸を正しく持てる子どもは家族間のコミュニケーションが取れているということが判ったらしいよ」
健人「家族で食べることによって正しい箸の持ち方、マナー、食べ物への感謝とか基本的な食習慣を身につけることができるんだって」
岩崎「頂きますを言うとか肘をつかないとか茶碗を持って食べるとか。そういうことね」
潤 「塾や習い事で忙しいから家族団らんが減っていて、一人で食事をとる子どもが4人に一人もいるんだ」
健人「それって僕たちの事じゃない?」
潤 「確かに・・。先生は家族団らんでちゃんと食事してる?」
岩崎「そう言われると・・・。確かにバラバラだわ。以後気を付けます」 
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○堤下物産・応接室
  康生の友人、松井が母時江とソファに腰掛けている。
康生「本当に久しぶりだなぁ」
松井「ずっと海外で、この間帰って来た」
康生「そうか、お互いまだまだ隠居生活は無理だな」
松井「そういえば、うちの娘がバイオリン教室をしているんだが、その生徒がお前のとこの孫で、幼稚園で農業を教えているとかで、素晴らしい教育だって誉めていたよ」
康生「親父が残した畑と田んぼで困っていたんだが、変な男が現れて大騒ぎだよ」
時江「(無表情)」
康生「(時江を見て)お袋さん、元気ないな」
松井「(力無く)やっと日本に帰って来てみれば、お袋は痴呆になってた」
康生「!・・痴呆症・・」
松井「一年前、田舎にいたのを無理に東京に連れて来たんだ。独りだから体の事も心配だし、とにかく歳だからな」
康生N「愛子が話していたのねじれ現象ってやつか」
松井「東京に来た途端、外に出なくなって家の中で縫い物ばかりしていたらしい」
康生「知らない土地は年寄りにはキツイな」
松井「苦労して俺を育ててくれたんだ。楽させてやりたかったのに本当に申し訳なく思っている」
時江「(無表情)」
松井「本当は動けなくなるまで好きなだけ野良仕事させて自分でできるうちは独りで生活させてやればよかったんだと思う」
康生「うちの親父も去年死んだが、倒れる寸前まで野良仕事していたよ。それを思うと本望だったのかもしれないな」
松井「実は、そのお前のところの田んぼにお袋を連れて行ってやろうと思って、今日は訪ねてみたんだ。俺も忙しいから、さすがに遠くに連れて行ってやれないんだ。でも世田谷で畑や田んぼを見せてやれるならそれくらいの時間は取れるから」
康生「いつでも来てくれ、娘の幼稚園もあるし家に寄ってお茶を飲んで休んで行ってくれてもいいし。これから行ってみるか?」
松井「いいのか?悪いな」
康生「大学の頃、お前のお袋さんには随分世話になったじゃないか」
時江「(無表情)」
○堤下家・田んぼ
  車の中から康生と松井が降りてくる。
松井「立派な田んぼじゃないか!」
遅れて降りてきた時江の表情が変わる。
時江「あいや~。あおら~や~、まげたなやおらや。いづのまに田植えすだんだべか」
松井・康生「(唖然)」
時江「ががにかばねやみっこの!とごしゃぐでば!おらさ、のらすごどやらせでけろ」
康生「何て?」
松井「いつの間に田植えがすんだのか。母ちゃんに怠け者って怒られるから、私に野良仕事をやらせて下さいって」
時江「そこのわげすたつ鎌っこどこでがす」
康生「何て?」
松井「そこの若い人達鎌はどこですかって」
○同・1時間後
  満作と時江、草刈りをしている。
松井「満作君、すまんね」
満作「汗水流して働くことの尊さを知っている人は人相がいい。見て下さい、どうですか婆ちゃんのこの表情」
時江「おめぇあんまおだずなよっこの!おら、ばあばでねぇでば。まだ築館小学校の6年佐藤時江でがす」
満作「通訳プリーズ」
松井「ふざけるな、私は小学6年生だって」
康生「お袋さんの今の記憶は6年生なのか・・・。佐藤って旧姓か?」
松井「あぁ、そうだ」
康生「そうか、お袋さんが何も話さなくなって引きこもった理由が分かったぞ。突然、田舎から連れて来られて、引きこもっている間だに痴呆が進んで、知らない人の家に厄介になっていると錯覚しはじめたんだ。世話になっているのに仕事をしないのは変だと思って雑巾縫ったり着物を縫ったりしているんじゃないか?」
松井「そうか・・・。言葉は通じない、畑もない、頼りの息子の俺はいないし。きっと孤独だったんだろうな・・・」
別人のように楽しそうに草取りしている時江。
松井「満作君、時々お袋をここに連れてきてもいいだろうか」
満作「もちろんOKです。時江はどうだい?」
時江「おら、満作がいるならいぐ。やんだわぁもう(恥ずかしそうに顔を隠す)」
康生「愛子のライバルがまた一人増えた」
松井「えっ?」
康生「いや、こっちの話し」
○不動産屋
  店内に老夫婦が入って来る。
児島「いらっしゃいませ」
妻 「あの畑付き一戸建てなんですけど」
夫 「まだ売れてないですよね」
児島「申し訳有りません。あの物件は3棟ともすぐに売れてしまったんです」
妻 「まぁ残念だわ。もう夫婦二人だけで、家は小さくてかまいませんの。車も乗らないし。テレビなんかで田舎暮らしなんてやってますでしょ。興味はあるけど、やっぱり生まれ育った町を出たくないし」
夫 「田舎暮らしは憧れるけど実行する気はないんです。だから小さな土地でも畑をやれると思って来てみたんですけど」
児島「すでに何組ものお客様に来店いただいて、現在、畑付き住宅を準備していますのでもうしばらくお待ち下さい」
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○白薔薇幼稚園・教室
  園児たちにワラないを教えている時江。
時江「(器用にねじったりよったりしている)こうすっと、しめ縄ができのしゃ」
園児たち「すご~い!!」
時江「こっつは馬っこ。馬っこは神様の乗り物だがら七夕やお盆にかざんのさ。正月のしめ縄の作り方もおしぇっから」
  教室の隅で見ている松井と満作。
松井「家に帰って『時江はこの家に奉公に来たんだよ』って説明したら、納得してくれました。家事や庭仕事なんか本人の好きなようにやらせて、東北出身の家政婦さんを頼んだら、すっかり意気投合して、奉公が終わったら一緒に温泉に行こうとか言ってます」
満作「そうですか」
松井「いろいろ調べてみたんですが、場所や出来事や物を使って過去の記憶を引き出す回想法というのがあるらしいんです」
満作「回想法ですか」
松井「本人は少女のつもりだから廊下の雑巾がけとかするんですよ。家政婦さんも『自分の親を働かせているみたいで見ていられません』なんて言ってぼやいてたけど」
時江「満作兄ちゃんもてづだってけろでは。ときえすとりじゃおすえきれねぇでば」
満作「わがったでば!」
福太郎「はやぐすろでば、このっ!」
時江「おめだづもみやぎけんのすとすか?」
福太郎「んだ、んだ」
  教室中、笑い。 
調理のおばさんが入って来る。
調理のおばさん「はい、みなさん。おやつですよ。時江お姉さんが作ってくれた、みたらし団子で~す」
時江「東京のすとにはしょつぺぇかもすんねぇけどあがいん」
健人「あがいん?」
満作「通訳プリーズ」
松井「どうぞ召し上がれ」
園児たち「いただきま~す!!」
  頬張る園児たち。
福太郎「うめ~!!こんな美味い団子食ったことない!」
時江「松井のご主人様もお上がり下さい」
松井「あ、はい。(団子を頬張る)」
  松井、手が止まる。
時江「なずした?うめぐねぇすか」
松井「お袋の味だ・・・」
時江「ご主人様のががとおなずあじすか?まんずよがったぁ」
松井「(涙がにじむ)」
時江「はだけの枝豆とれだらずんだ餅かしぇからねぇ」
松井「ずんだ!!食べたい!食べたい!」
満作N「(子どものようにはしゃぐ松井を見て)どんなに名誉や金があってもお袋の味は買えないってことか」
○堤下家・畑(夕)
  台風の影響で風が強い。飛ばされそうなテント。
健人「満作先生、このテントは台風に耐えられないと思うよ」
福太郎「3びきの子豚のワラの家みたいなもんだね。フ~!ときたら飛ばされる」
満作「どうすればいいかなぁ」
健人「やっぱり煉瓦の家が丈夫で一番いいよ」
満作「煉瓦の家か・・・」

シナリオ*せたがやたがやせ完全版9話

シナリオせたがやたがやせ完全版

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月刊現代農業が発売になりました。10月号の表紙はこちらですよ~。
今月の特集は肥料代減らしハンドブックです。
原油の高騰の影響で農業、酪農、漁業、どの業界も苦しんでいます。
今月の現代農業では肥料の高騰に苦しむ農家の方のために「肥料代減らし」の知恵が満載です。
そして私の「せたがやたがやせ」は364ページに掲載されていますので、興味のある方は是非、本屋さんで購入してみて下さい。
9月号に載せた9話の完全版を公開しますが、8話9話は私のブログに時々登場する「茨城県やさと」が登場します。
8月30日には若い就農研修夫婦を紹介していますし、9月3日にも載せています。
カテゴリーの「農業・ガーデニング」をチェックして頂けば「やさと」が登場しますよ。
せたがやたがやせ第9話
○山に沈む夕日
○小川のほとり
  夕日を見ている園児と親たち。
彩の父「何で田舎は、こんなに時間がゆっくりと流れるんでしょうね」
翼の父「東京も田舎も時間の流れは同じのはずなんですけどね」
翼  「僕、パパと夕焼けを見るの生まれてはじめてだよ」
潤  「僕も!」
翼の父「・・そうだったかな・・」
潤の父「子どもと夕焼けも見たことが無いなんて、やっぱり何かおかしいですね」
彩の父「実は私、仕事でしくじっちゃって、野菜売場に回されたんです」
翼の父「えっ?」
彩の父「野菜には全く興味がなかったし、本当にやる気がなくなって転職も考えました」
潤の父「そうですか・・」
彩の父「今回丁度、娘の農村体験ということで、取りあえず産地の様子を見てみるかって軽い気持ちで参加しました」
満作「どうでしたか?」
彩の父「単純だと笑われるかもしれないけどものすごく興味が湧きました。もっと勉強したいです」
翼の父「それは良かったですね。仕事は楽しくなくちゃやりきれないですよ」
潤の父「その通りです」
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○月(夜)
  牛ガエルの鳴き声。 
○水田(夜)   
ホタルが舞っている。
  園児と親たち息をのんで見つめる。
香織「すごい・・・幻想的(涙が溢れる)」
泰造「(香織の涙を見てドキっとする。黙って汚い手ぬぐいを渡す)」
香織「ごめんなさい、感動しちゃって。生まれてはじめて見ました。ホタルってこんなにゆっくり と静かに・・・儚げに飛んでいるものなんですね」
泰造「や、やさとは水田への農薬空中散布を十八年前に中止してからホタルが復活しました」
香織「ずっと、変わらずに残して欲しいです」
泰造「俺は毎年見ていて珍しくないもんで・・・。でも俺、東京にはじめて行った時、東京ドーム の電飾を見て涙が出ました。ドラマや小説に出てくる地名があらゆるところに実在するのも感動 したし、歩いて行ける距離にファミレスがあるのにも感動しました。ハハ・・」
香織「(吹き出す)感動するものは人それぞれということですね」
香織と泰造の様子を見ている愛子。
  微笑ましく、二人がうまくいって欲しいという気持ちで一杯。
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○緑の森の中(翌日) 
秀次「いいが、森のながで『ちょっと来い』がねぇでいる方に行ぐど連れでいがれるがら気をづけ んだよ」
健人「ちょっと来いってなんですか?」
泰造「コジュケイっていう鳥のこどだよ。コジュケイは藪の中にいんだ。子どもが藪にはいるど危 ないがら昔の人はそう言っで、脅かしたんだど」
健人「ふ~ん」
  みんなで歩いていると突然、泰造や満作たち青年団が目をつぶり後ろに歩き始める。
翼の母「何?なんなんですの?」
翼 「あっ!(指を指して)動物の死体!」
泰造「あっ!!指差した!!」
愛子「まぁ可哀想に・・・」
泰造「あ~、言っちゃった!」
愛子「私、何をしくじりましたの?」
満作「道路で死んでいる動物を見たら目をつぶって十歩後ろに下がらないといけないんですよ」
翼の母「だからみなさん目をつぶって後ろに下がったんですね」
泰造「道端で死んだ動物を指差すど呪われで死んでしまうど言われでるんです」
翼 「え~、そんなぁ~」
泰造「でも、でぇじょうぶ。翼の指を踏んで(翼の指をそっと踏む)俺が呪文をいったら翼は『ナ ダッ』って叫ぶんだ。そしだら死ななぐてすむんだよ」
翼 「はい」
泰造「ナダッカ・ガ~マカ」
翼 「ナダッ!!」
泰造「はい、OK」
愛子「じゃ私はどうすれば?」
泰造「可哀想とが言うど動物の霊がついできでしまうので『死ぬようなことをした自分が悪いんだ から、ついでくるなよ』とこごろのながで思うんです」
満作「イタチと目が合うと眉毛の数を数えられて全部数えられると死んでしまうとか、尺取虫が体 を一周すると死んでしまうとかね。茨城の迷信なんだ」
泰造「まぁ実際そんな奴にあったごどねぇけどね」
米 「全く馬鹿でしょう。今だに迷信なんか信じてるんだから」
  そこに黄色い車が横を通り抜ける。
米 「(車を指差して)スーパー黄色、スーパー黄色、スーパー黄色!」
満作「結局お前もやってるじゃん」
愛子「今のも迷信?」
満作「黄色い車を見たら指を指して『スーパー黄色』って三回唱えるとその日いいことがあるって 言うんです」
泰造「黒いナンバーを1日7回見ると願いが叶うっていうのもあんだど」
潤 「面白いね。僕、東京に帰ったらみんなに教えるよ」
彩 「私も絶対やるやる!」
○ゆめファームやさと・駐車場
バスの周りに集まるひとたち。
満作「じゃみんな荷物も積んだし出発だ。俺は太陽の具合がよくなるまでもう少しこっちにいるか ら」
園児たち「え~!いいなぁ!!」
○秀次の家・床の間
  布団で寝ているが目がパッチリの太陽。
○ゆめファームやさと・駐車場
太陽の母「先生にお願いして本当によろしいんですか?」
満作「大丈夫ですよ。環境が変わって興奮し過ぎたんでしょう。医者もすぐ元気になるって言って ますし、先に帰ってお母さんの看護してあげて下さい」
太陽の母「本当に申し訳有りません」
バスの乗り込む太陽の母。
剛 「満作!」
満作「(振り返って)よぉ剛!」
剛 「お前が頑張っているのを見て、自分にも何か出来るんじゃないかって、いろいろ勉強した  んだ。それで牛をもう一度やってみようと思っている」
満作「そうか!やるか!いいじゃないか!」
剛 「田んぼ牧場って知ってるか?」
満作「なんだそれ?」
剛 「このあたりでも耕作放棄地や休耕田が増えてるだろ」
満作「あぁ」
剛 「耕作放棄地が荒れるのを防ぐために牛を放牧するんだ。柵の設置費の補助や伝染設置の半額 補助が出てそんなに施設に金がかからないし」
満作「やる気まんまんじゃないか」
剛 「かみさんに言われたよ。生活は安定しても無気力のあなたを見ているのは辛いって・・」
満作「そうか・・奥さん大事にしろよ」
剛 「(鞄の中からトランプのようなものを取り出し)実は、これを子どもたちに配りに来たんだ 」
満作「何だこりゃ」
剛 「家畜のカードゲームだよ。中央家畜会が作ったんだ」
満作「バトルカチック?」
剛 「図鑑や本がなくても一目で家畜の違いがわかるんだ。農業に負けていられないからな。満作 に対抗して俺も酪農を広げるぜ」
○バス・車中
  窓に集まる子どもたち。
  見送る人達に手を振る。
健人「太一君!また絶対来るからね!」
福太郎「美味しいご飯をありがとうございました!」
彩 「お婆ちゃん元気でね」
翼 「(手を振りながら泣いている)」
  ひと際大きく体を乗り出し手を振る香織。
香織「泰造さん!また来ますね!」
運転手「出発しますよ。危ないですから窓から手や頭を出さないで下さい」
  夢中で手を振る香織を車中に引っ張る園児たち。
潤 「園長先生が一番名残惜しいみたいだね」
彩 「これはきっと遠距離恋愛になるわね」
走り出すバス。
○秀次の家・土間
満作「太陽!もう起きてきていいぞ!」
  奥の部屋から現れる太陽。
太陽「・・・」
満作「分かってるって仮病だろ」
太陽「(照れ笑い)」
○あぜ
  太陽と満作が田んぼを見ている。
満作「お前を見てると、俺の小さい頃を思い出すよ」
太陽「?」
満作「俺も人が苦手でね、友達や家族と、ほとんど話しをしなかった。種を集めるのだけが唯一の 楽しみだった」
太陽「(満作を見つめる)」
満作「初恋の小学校の小百合先生が砂漠化をくい止めるために種を粘土で固めて蒔く、という活動 をしていると聞いて農業に目覚めたんだ。でも子どもに農業は無理があったよ 小学2年生の時 だったか・・・」
○十五年前ー荒木家隣の空き地
  鍬を持って耕している満作(8)
  すでにいくつかの野菜が実っている。
  そこへ作業員の男と父稔が来る。
作業員「お宅の息子さんですよね。来週から工事が始まるので撤去するように言ったのですが、嫌 だと言ってきかないんですよ」
稔 「ケント!いい加減にしなさい!ここは人様の土地だぞ!」
ケント「土は種を植えて欲しいんだよ。植物を育てて、それが土の喜びなんだ」
稔 「何訳分からないことを言ってるんだ!」
○同ー翌日
  ショベルカーがケントの畑を壊している。
  それを茫然と見つめているケント。
  ケントの瞳から一筋涙が流れる。
満作N「子どもの俺にはどうすることもできなかった。踏みつぶされる野菜たちを助けてやること はできなかった」
○キャベツの大量廃棄の報道映像
満作N「キャベツの大量廃棄の映像を観た時、俺の畑を壊したショベルカーとダブって堪らなかっ た。あの時の俺は何も出来なかったけど今の俺は違う。何かできる。野菜たちを今度こそ見殺し にはしないと心に誓ったんだ」 
○あぜ(戻る)
  悲しそうに満作を見る太陽。
満作「太陽は農業が好きか?」
太陽「(頷く)」
満作「絵の得意な人は絵を描いて自分を表現する。サッカーが得意な人、歌が得意な人、誰でもみ んな生まれた時から自分の武器を持っていてるはずだ。俺は農業が好きだ。農業が俺の表現、自 己主張だ」
太陽「・・・・僕も将来、農業する」
満作「えっ!(驚いて太陽を見る)」
太陽「(満作に微笑む)」
満作「空耳か・・・(たちあがり)お母さんも心配するから水曜日には帰るか」
太陽「(悲しくなる)」
満作「心配するな!畑や田んぼは逃げないから。一生懸命農業を勉強して大人になったらここに来 ればいいよ。その時は師匠みたいに俺がお前を受け入れてやるから」
太陽「(満面の笑みで小指を出す)」
満作「よし」
  指切りをする二人。
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○八郷町JA
  秀次と生産者たちが集まっている。
秀次「今、高齢化や後継者不足で農業従事者が減ってぎてる」
泰造「うん、八郷に限らず全国どこもだ」
秀次「若者、バカモノ、よそ者が地域を活性化するって言うのを聞いで何だそりゃと思った。しか し、満作が現れて俺の考えは変わった。耕地面積日本一、農業世帯日本一の、この茨城の日本一 をキープしたいと今、こごろから思うようになった」
泰造「俺もだ」
秀次「(自分のノートパソコンを開いて)このデータを見でぐれ」
パソコンにデータが映し出される。
村人「お~!」
秀次「これがらはパソコン通信やインターネットが農村の情報革命の核になる!」
村人「お~!」  
秀次「畠山さゆりちゃんて知ってっけ?」
泰造「コスプレも農家もこなす女社長だっぺ」
秀次「都会がら農業体験を受げ入れるサイトや自家製の米をネット販売したり、岩手の農業や文化 を全国に発信してんだ(じぇんこTVジャパンのサイトを見せる)」
皆、まじまじと見る。
雅治「長渕つよすだってよ(笑う)」
組合長「河童のコスプレで『尻こだま抜かれ隊』っで、踊っでるの見だごどある」
亮太「俺も知っでる。女医やウエイトレスの格好でNHK盛岡の番組に出でだって」
組合長「一粒の種籾がら稲穂がつぎ、お米になっで人の命を支えられるのはミラクルだと言っだ彼 女の言葉に感動したどよ」
雅治「ミラクルねぇ・・・」
秀次「俺だぢも負けちゃいらんねぇ。何がやらなぐではなんねぇ」
組合長「たしがに・・」
秀次「このデータだと出生地に戻っでぐるUターン率が増えでいるごどがわがる。特に団塊の世代 では40%も上がっでる。不況の長期化で都会に見切りを着げで帰郷するひどが増えでいるども 言われでる」
組合長「私も何がで見だ。都市住民で週末に田舎暮らしを望む人は約40%五十歳代のうぢ約30 %のひどが定住を望んでるっで」
泰造「家を建でるなら土地を提供するって町もあるど聞いだど。それはどうなのけ?」
組合長「ただどんどん来でもらっで、就職は?生活は?学校は?医療機関は?と具体的な受け入れ 支援の未整備で不満やトラブルがあるらしいど」
秀次「そういうこども、解消しなけりゃいげねぇし、かりに土地を提供するにしでも十年就農しだ ら無償とがな」
組合長「空き家の情報提供なんがもいいんじゃねぇが」
泰造「空き家バンクっていうの聞いだごどあっと。過疎化対策に無償で情報提供って」
秀次「そごで、俺もさゆりちゃんに対抗してホームページをつぐってみだ」
  パソコンの画面に『わげしを農村につれでって』
秀次「田舎暮らしに関心のある都会人のための情報提供ホームページだっぺ」
組合長「すごいね、秀じぃ。どごで勉強したのけ?」
秀次「まぁ金はねぇが、暇とじがんは、たっぷりあっがらよ」
村人「お~!」
  秀次のホームページを関心して見ている。
                        続く

シナリオ*せたがやたがやせ完全版8話

シナリオせたがやたがやせ完全版

月刊現代農業の左にお座りなのは宮城県で有名な商売の神様「仙台四郎」さんです。
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全国の農家のみなさん、農業好きのみなさん、現代農業9月号が発売されました。
今月は「いまこそ農家が米を売る米を食べる」が特集になっています。
鳥獣害対策特集、飼料イネでエサ高を乗り切る、などなど興味深い話題満載です!!
農業と関係のない方でも、この本一冊見ただけで現在の日本の農業の様子が分かってためになりますよ。
私の「せたがやたがやせ」は352ページに掲載されています。
是非、お近くの本屋さんでお買い求め下さいませ(東京の本屋さんにはなかなか置いていないので申し訳ありませんが注文して下さい)。
。というわけで、先月の7話の完全版を公開しま~す。
せたがやたがやせ第8話
○ゆめはうす・駐車場
  バスから降りる園児と親。
満作「ここで昼食をとります。JAの婦人部のみなさんがお昼の用意をしていると思います。みなさんもお手伝いお願いします」
○ゆめはうす・台所
  JAの女性部のおばちゃんが昼食の用意をしている。
泰造の母「みんな、お腹が減ったっぺ。豚汁とおにぎりかせっからねぇ」
香織「何かお手伝いいたします」
泰造の母「(枝豆とトウモロコシを茹でている)じゃ、うづわの用意しでぐだせぇ」
香織「はい。ざるも取ってきましょうか」
  棚の上の高いところにあるザルを取ろうとする香織。
泰造の母「泰造!ボゲッとしでねぇで、てづでぇしろ!」
泰造「何?」
泰造の母「全く背ばがりおおぎぐなって、こんな時しが、やぐにただなかっぺ」
泰造「うっせ~なぁ」
香織「(そのやりとりを見て笑う)」
泰造の母「こんなぼんくらだがら三六にもなって嫁っこが、ごねぇんだっぺ」
香織「理想が高いんじゃありませんか?」
泰造の母「理想なんて、とんでもねぇ!ちょっとぐれぇ髭が濃ぐでも、足が臭ぐでも、女だったら誰でもよがっぺ」
泰造「何だよそれ」
香織「(笑う)」
続きは追記をご覧下さい↓

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泰造の母「美人なんか望んでなかっぺ。まぁあんだみでぇな綺麗なひどはだいたいちゃんとした男の人の嫁さんだがらね」
香織「すみません・・・私はまだ独身です」
泰造「え!お母さんじゃねぇんですが?」
香織「この幼稚園の園長です」
泰造「園長先生と言っだらお婆さんかと思っでました。こんな若い園長さんとは」
泰造の母「独身というがら泰造の嫁っこにと思っだけど園長先生では釣り合いがとれながっぺ」
香織「釣り合いなんて、そんな・・私は・・」
泰造「何言ってんだよ。母ちゃん!困ってるが!すみませんホントにおやごでデレスケもので」
香織N「何て暖かい人なんだろう。そばにいるだけで穏やかな気持ちになる」
  おにぎりを握るおばさんを見ている健人、福太郎、太陽。
福太郎「うまそぅ~。早く食いてぇ~」
おばさん「昔の人はおむすびを神前や神棚にそなえたんだよ。米の一粒一粒に穀物の霊がやどっでいで、それを握っで球の形にしで神にそなえるど大きな力を与えでもらえると考えてでいだらしいよ」
健人「僕も大きな力を与えてもらいたい!」
太陽「(大きく頷く)」
健人「神棚がない人はどうすればいいの?仏壇でもいいの?」
おばさん「仏壇だと仏サンだげど、まっいいが」
○同・広間
次々とご馳走が運ばれて来る。
  食事をしている一同。
満作「せっかくだから自己紹介をしてもらおうか。じゃ亮太さんのとこからお願いしようか」
亮太「こんにちは、上田亮太です。これは息子の太一です。うぢは農家をやっています」
亮太の息子太一が、はにかみながら話し出す。
太一「上田太一2年です。僕の将来の夢は農家になることです。格好いい父と一緒にお米とトマトを作る仕事がしたいからです。農家の仕事は朝早いし、力仕事も大変だけど汗を流して頑張って仕事している父がとても格好いいのです。儲からないからしなくていいと言うけど僕の夢だから農家になります」 
太陽「(思わず拍手する)」
  みんながつられて拍手する。
  翼の父、携帯のメールに夢中。
  突然の拍手に驚く。
  それを見てガッカリする翼。
翼N「そんなに興味がないなら、付いてこなれけりゃいいのに」
○同・台所
  後片づけをする母親とおばさんたち。
○同・大広間
昼食後、寝転がりながらメールを打っている翼の父。
  子どもたちが秀次の周りに集まっている。
秀次「茨城には牛久沼って有名な沼があんだ。その名前の由来を教えでやろうが」
福太郎「聞きたい、聞きたい」
秀次「昔、食べですぐに寝でいだ小坊主が牛になっだんだ」
彩 「食べすぐ寝るなんて行儀が悪いわ」
翼 「それってうちのパパだよ(父親をギロリと睨む)」
秀次「牛になっだのを悲観した小坊主が沼に投身自殺しだんだ。それが『牛食う沼』と言って、のちに牛久沼になっだそうだ」
福太郎「やべ~!僕、時々やってママに叱られてた!もう絶対やめよう」
  不愉快そうに起きあがり部屋を出て行く翼の父。
○同・駐車場
  バスに乗り込む園児と保護者たち。
満作「バスに乗って十分くらいのところにある田んぼに見学に行きます。幼稚園の田んぼと違いがあるか、確かめてみようね」
○農道・バスの中
走るバス。
満作「運転手さん、ちょっと止めてもらえますか?」
  バスが止まる。
満作「すみません。すぐ戻ってきます」
  バスを降りて行く満作。
○秀次の畑
  作物が実っている。
  泥だらけの米が雑草を取っている。
満作「この畑、米ちゃんが・・・」
米 「(驚いて振り向く)満作!!どうしたの?何してるの?」
満作「幼稚園の子どもたちを田舎体験させに来たんだ。米ちゃん泥が嫌いだろ?なんで」
米 「爺ちゃんが畑をほったらかしたら、満作ががっかりするだろうって・・」
満作「俺のために・・・」
米 「ち、違うわよ!爺ちゃんのためよ!腰を悪くしたらいけないから変わりに私がやってあげただけよ」
満作「やっぱり君はお化粧して綺麗な格好するより土が似合うよ。俺はその米ちゃんがずっといいと思う」
米 「満作・・・・」
○農道・バスの中
  バスの中の人たち、畑の様子を見ている。
福太郎「あの女の人、田植えを手伝いに来た綺麗な人だよ」
彩 「あれはかなりいい雰囲気ね」
翼 「満作先生の彼女だよ」
愛子N「やっぱり若い子にはかなわないのね(落ち込む)」
彩 「あっ!喧嘩はじめた!」
愛子「えっ?」
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○秀次の畑
満作「トマトに水をあげちゃ駄目だよ!」
米 「そんなの知らないわよ!みんなに平等に水をあげるものだと思ってたもん!」
満作「だから素人は駄目なんだよ」
米 「ムカツク!せっかく満作のためにやってるのに!」
満作「さっき師匠のためにやってるって言ったじゃないか!」
米 「うぅ~(ためて)満作のバカ!!」 
○農道・バスの中
彩 「満作先生、お姉さんに蹴られた」
愛子「イエス!(ガッツポーズ)」
健人「ママ、どうしたの?」
愛子「えっ?あ、あの、畑に行く前に準備運動を・・・おほほほほ」
  足をさすりながらバスに乗り込む満作。
運転手「満作君、大丈夫?」
満作「暴力反対」
○田んぼ
  田んぼの周りを散策している一同。
満作「どうだみんな、幼稚園の田んぼにいない生き物もいるんじゃないか?」
健人「カエルもザリガニもいっぱいいる!福ちゃんなんか蛇をみつけたんだよ!あんなの東京でみたことないよ!」
福太郎「でもこれだけ広いと鎌で雑草とるの大変でしょ。家族だけで間に合うの?太一君手伝うの?」
太一「鎌でなんかやってたらきりがないよ。機械を使うんだ」
健人「お天気でお米が取れる量って違うの?」
太一「そりゃ違うよ。雨ばっかりの年は不作だったりするよ」
福太郎「今年のお米は豊作になりますように」
健人「僕たちの幼稚園でも田んぼと畑をやっているんだ」
太一「だって東京でしょ?」
健人「東京だけど、僕の曾お爺さんがずっと畑と田んぼをやっていたんだ。去年死んじゃったんだけどね」
太一「東京で田んぼかぁ」
福太郎「本当はそんな話しはなかったんだよ。突然満作先生が現れて僕たちがやることになったんだ」
太一「満作兄ちゃんが東京に行っちゃって、八郷のみんな寂しがってるんだ。でも日本の農業のためだから仕方ないよ」
太陽「(心が痛む感じ)」
太一「俺、自己紹介であんな格好いいこと言ったけど、農家やろうと思ったの実は満作兄ちゃんの影響なんだ」
健人「なんとなく分かるよ。きっとまた熱く語っていたんでしょう?」
福太郎「(満作を真似て)マンション建てるなら種を蒔けぇ~~!って?」
  4人ケラケラと笑う。
園児たちの様子を見ている雅治と満作。
雅治「俺、正直言って東京のガキきれぇだった。でも、こんけぇはちょっと見直したよ」
満作「どうして?」
雅治「たまに農業体験で受け入れる子どもはマナーがねぇから、カエルを追いかげで、いぎなり苗をかき分げで田んぼに入っで行ぐんだ。平気で苗を踏みつぶしたり」
満作「そういうことあったな。引率の大人も『子どもは自然の中でのびのびと』とか言って叱るどころかにこにこして。雅治さんなんか子ども相手に喧嘩売ってそれでなくても茨城県人は話し方が怖いっていわれてるのに、大騒ぎだったよね」
雅治「この子たぢは田んぼに入っても苗に気をづげで注意しでる」
満作「(園児たちを見る)」
雅治「天候のことを気に掛けたり、労働のことを心配するなんて以外だ。あの子たぢも畑と田んぼをやっでいるからなのかなぁ」
満作「そうか!あの子たちにとって田んぼは農家の仕事の場で大切な場所であると自覚しているんだ。田んぼは遊び場でなく労働するところだと理解してくれているんだ」
雅治「あんなにちっげくでも、立派な農業家なんだな」
満作「消費者が農家の状況や野菜に興味を持って理解すれば必ず日本の自給率は上がる。俺の狙いに間違いない!!」
雅治「(苦笑い)」 
○佐藤の畑
  園児と保護者たち農道に並んでいる。
満作「この畑は佐藤君の畑です」
佐藤「佐藤です。こんにちは」
満作「佐藤君夫婦は新規参入者でゆめファーム農場というところで2年間研修を受けて八郷で農業を行っています。現在5家族が卒業して佐藤君と同じように八郷で農業をしています」
佐藤「僕は今年で4年になりました」
愛子「佐藤さんは県外からいらっしゃったのですか?」
佐藤「はい、僕は板橋区から奥さんは葛飾区から来ました」
彩の父「えっ?地元の人じゃないんですか?まだお若いのに東京を捨てて?」
佐藤「僕たち、とにかく農業が好きで好きで、農大卒業して就農しようと思ってもなかなか受け入れてくれるところがなくて、この研修受け入れを知って希望しました」
満作「こいつも僕と同じ農業馬鹿です」
佐藤「もうからないですけどね。畑に出るのが毎日楽しくて楽しくて、へへ」
穴だらけのボロボロのTシャツとジャージ姿で幸せそうにニコニコと笑う夫婦を見て、胸がつまる彩の父。
彩の父「これが本当の豊かさなのかもしれませんね・・・」
満作「飽食と消費の都市文明の中で、何かおかしいと気付き始めた人達が確実に動き初めているんです」
翼の父「僕の周りじゃ全く感じられませんね」
  潤の父、全く興味なく離れたところでゴルフの素振りをしている。
○同
  畑を案内する佐藤。
佐藤「従来の農業では化学肥料と農薬を多用して早く大きく沢山作るでしたが、僕たちは有機農業を勉強してきました。安全で安心で美味しいものを一人でも多くの消費者の方に届けたくて、他にも病気に負けない台木に接いで育てたり、害虫の繁殖を抑えるラノーテープを張ったりして・・・ってこんな話しはつまらないよね。じゃ畑の説明しようか。ここはピーマンを植えてあります」
福太郎「なんでピーマンと一緒に花が植えてあるの?」 
佐藤「あれは休耕期にむやみに土壌消毒しないで緑肥になるマリーゴールドを栽培して畑にすきこんでいるんだよ」
健人「何でマリーゴールドなの?」
佐藤「連鎖障害や病害虫の予防になるんだ」
翼の母「なるほどねぇ・・」
佐藤「じゃ今日はみんなに出荷用の大根抜きをしてもらおうか」
園児たち「やったぁ~!!」
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○大根畑
  園児たち夢中で大根を引き抜いている。
翼 「この大根、変な形!足が生えてる」
健人「本当だ、おもしろい形だね」
佐藤「これはまた割れだ。売り物にならないからお土産に持って帰っていいよ」
福太郎「なんで売り物にならないの?」
佐藤「いくら味も手間も同じでも買う人は真っ直ぐなものを選ぶからね。少しでも曲がっていたり格好の悪いものは出荷できないんだよ」
福太郎「おいしいのは変わらないのに?」
佐藤「赤ちゃんの苗の時からみんな同じに大事に大事に育てたんだけどね。絶対真っ直ぐ育つ方法なんてないからね」
翼の父「この大根も人間と一緒だな。同じ格好をして同じ事を言って同じ物を持って、周りと少しでもズレていたり規格外だと選別されて社会からはじかれてしまうんだ」
佐藤「そう言われると僕や満作さんはかなり世間からズレていて規格外ですね。ハハッ」
満作「規格外上等!俺、規格外を貫くよ!ガッハッハ」
  不格好の大根を見つめる彩の父。

シナリオ*せたがやたがやせ完全版7話

シナリオせたがやたがやせ完全版

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全国の月刊現代農業の読者のみなさ~ん、8月号が発売になりましたよ~。
今月の表紙はこちらです。
特集は光合成細菌&納豆菌・乳酸菌・酵母菌。そして町の人が田舎で暮らす時の11ヶ条・空き家活用などためになる話題が満載です。
『シナリオ せたがやたがやせ』は350ページに載っているので興味のある方は是非ご購入なさってみて下さいね!
今月の話しは幼稚園の園児たちが茨城の八郷(現石岡)にファームスティします。茨城の八郷は私が農業体験などでたびたび御世話になっている大好きな場所です。
先日のテレビ東京の『自給自足物語』でも八郷で時給自足している脱サラの男性が取り上げられていました。というわけで、先月の7話の完全版を公開しま~す。
せたがやたがやせ第7話
○白薔薇幼稚園・ランチルーム
  食事の済んだ教室。
満作「太陽!さぁ飯だぞ!」 
太陽「(親指を立てる)」
満作「(鍋を見る)カラッポだ!米がない!」
太陽「!」
  そこに調理のおばさんがお膳を持って入って来る。
調理のおばさん「はい、ご飯」
満作「おばちゃん、どうして?」
調理のおばさん「満作先生、あんたすごい人だよ。まだおかずの食べ残しはあるけど確実にへってるのよ。毎日、畑や田んぼで体を動かしているからやっぱりお腹がすくんだね。ご飯は残るどころか、お代わりが出て、今日は余計に炊いて良かったよ。二人の分は無くなる前によけといたんだ」
  三人、顔を見合わせハイタッチ。 
○堤下家・畑
  真夏の炎天下。
  畑に集まる園児と満作。
満作「今月に入って全然雨が降らない!そこで!みんなで雨乞いを行う!」
福太郎「雨乞い?」
満作「頭の上に皿をのせて、こんな感じで踊るんだ(妙な踊りを披露する)」
健人「それ、やらなくちゃいけませんか?」
彩 「彩、恥ずかしい」
満作「君たち、畑の野菜の命が懸かってるんだぞ」
福太郎「枝豆を見殺しにはできん!」
園児たち「・・・(渋々、頭に皿をのせる)」
続きは追記をご覧下さい↓

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頭に皿をのせ、輪になって踊りだす一同。
珠美「満作先生、本当に雨が降るんですか?」
満作「まぁ見ていて下さい」
  急に風が吹いてきて黒い雲が流れて来る。
  雨がポツポツと降り出す。
翼 「雨だ!」
潤 「ほんとに雨が降って来た!」
  雨が強くなり、建物に逃げ込む園児たち」
珠美「なぜ雨が降るのが分かったんですか?」
満作「長年の感ですよ。風と空気の湿り具合、あと時期かな。きっとこの雨で梅雨明けになりますよ」
○堤下家・畑(休日)
  高く伸びたトウモロコシの畑の中に隠れて座り込んでいる健人と太陽と福太郎。
福太郎「(黙々とシュークリームを食べている。はみ出したクリームで手がベトベト)」
健人「僕、喘息の発作が出ると苦しくて苦しくて本当に死にたくなっちゃうんだ。死んだら楽になれるのにって思うよ・・・」
福太郎「その気持ち僕にもわかる。糖尿病になったらどうするの!って食べ物取り上げられた時、死にたくなる」
太陽「(無言で首を振って健人と福太郎を止めるジェスチャー)」
健人「(そんな太陽を見て)僕ね、太陽が大好きだよ。親友だ。他の子なんかにこんな話しをしたらすぐ親に喋っちゃうけど、太陽は嫌な顔しないで聞いてくれる」
福太郎「じゃ僕は?」
健人「もちろん、福ちゃんもだよ」
福太郎「僕たち永遠の友達だね(健人と太陽の手を握る)」
  福太郎の手のクリームで健人と太陽の手もベトベトになり顔がゆがむ。
福太郎「ごめ~ん」
  三人笑い出す。
○同・大輔の部屋
  ドアが開き満作が入って来る。
満作「よぉ!大ちゃん!(テレビゲームの画面を見て)なんじゃこりゃ!!」
○ゲームの画面
  農業ゲーム。畑に野菜が豊作。
○堤下家・大輔の部屋
満作「お前、ゲームの中で畑を耕していたのか?」  
大輔「(頷いて)・・・母さんはお前の好きな道に進みなさいと言ってくれた。でも、親父は農大なんてふざけるなって、勝手に裏口入学の手続きしていたよ。一度も出席しないで引きこもって抵抗したけどね」
満作「実は、俺も反対されたんだ。包丁を自分の首に当てて『農大に行けないくらいなら死んでやるっ!』親父に言ったら、『そんな脅しにのらないぞ』って言われて」
大輔「言われて?」
満作「(首の傷を見せて)切れた。親父の言う通り、脅しのつもりだったんだよ。うちの包丁切れないの分かってたから平気だと思って、首に当てたら切れた。なんと前の晩にお袋が包丁をといてたんだなこれが」
大輔「(顔がゆがむ)」
満作「幸い、深い傷にはならなかったけど、医者に『今度親を脅す時は包丁を研いだか確認してからにしなさい』って怒られた」
大輔「俺にはそんな勇気ないよ。いい年して反抗して引きこもる程度のちっこい男だよ」
満作「でも、よく農大に入れてくれたな」
大輔「さすがに体裁が悪いからね、次の年に受験させてくれた。でも卒業したら親父の会社に就職しろって言われた。けどそれも無視して自分で就農を決めると、ことごとく親父が手を回してきて全部駄目にされた」
満作「なんてひでぇ親父だ」
大輔「お終いだよ。俺に未来なんてないんだ。農業が出来ないくらいなら生きている意味なんかないんだ」
満作「俺は農業を愛する同士を救うぞ。お前を畑にカムバックさせてやる。俺の情熱はデゴイチのように止まらないんだウォー!」
○同・愛子の部屋
  向かい合って座る満作と愛子。
満作「(深刻な表情)」
愛子N「私に相談したいことがあるなんて・・・プロポーズかもしれませんわ」
満作「今まで子どもに興味なんか全くありませんでした。しかしこの幼稚園の子どもたちに出逢って将来の自分の子どものことを思うようになりました」
愛子N「きた~!ですわ~!」
満作「僕にできることは何なのか?」
愛子「もちろんお手伝いします!産みましょうとも!あと二人くらいは産めます!」
満作「は?産む?」
愛子「満作さんと私の愛の結晶では?」
満作「白薔薇幼稚園の子どもたちのことです」
愛子「やだぁ、私ったら、はしたない・・」
満作「子どもたちの心と体が心配なんです。夏休みに子どもたちを農村体験させたいんです!協力して下さい!」
愛子「農村体験ですか?」
満作「はい。たぶんお母さん方からは却下されるでしょう。一筋縄ではいかないみなさんなので、愛子さんからも説得していただきたいんです」
愛子「分かりました。満作さんの提案を無駄にはいたしません」
○白薔薇幼稚園・ホール

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  ファームステイ説明会の垂れ幕。
満作「(愛子に小声で)愛子さん、ファームスティって何ですか?」
愛子「(小声で)農村体験なんて言うと途端に拒絶反応示しますでしょ。お母様方は横文字に弱いですから」
満作「なるほど」
香織「(立ち上がり)夏休みにダイヤ組さんのファームスティを行いたいと思います」
満作「僕の住んでいる、茨城の八郷というところです」
翼の母「農業学習は、ここでやっているんですから充分じゃないですか!」
満作「本物に触れさせてやりたい!見せてやりたいんです!切り身じゃない魚が泳ぎ、キャベツとレタスが違うって触って食べてみる。そして満点の星を見せてやりたい!」
彩の母「そういうことはやりたい方が個人的にやればよろしいんじゃないですか?」
満作「個人的な問題じゃない!この幼稚園の子ども達は生きる力が弱まっています!僕は毎日彼らを見ていて感じるんだ!」
○回想ー同・園庭(放課後)
  子どもの手を引いて帰って行く保護者。
満作「郊外学習に畑に行くぞぉ~!」
園児たち「イエ~イ!!」
  畑に向かって走って行く園児たち。
翼 「ママ、僕も行きたい・・」
翼の母「あなたはお稽古があるのよ?放課後暇な人たちと同じことをしていたら御受験で不合格になるのよ?それでもいいの?」
満作N「僕も随分お稽古ごとをさせられたけど今の子どもたちの比じゃない」
○回想ー同・畑
虫を追いかける園児。
  興味津々に満作の話しを聞く園児。 
そこへ潤の母の車が止まる。
潤の母「潤ちゃん、お時間よ急いで頂だい」
潤 「あと、ちょっとだけ!」
潤の母「いけません!そんな汚らしい手でピアノに触るなんてママは許しませんよ!」
潤 「(しょんぼり)は~い(仕方なく母親の車に乗る)満作先生バイバ~イ・・・」
満作「おう!また明日!」
  車を見送る満作。
○回想ー田んぼ 
  雑草をとっている園児たち。
翼 「疲れたぁ~」
彩 「休みたい・・・」
潤 「座りたい・・」
満作「おいおい、今はじめたばかりだぞ。何でそんなに疲れるんだよ」
潤 「だって僕たち毎日お稽古があるんだよ」
翼 「プールにピアノに英語に塾」
福太郎「辞めればいいじゃん」
潤 「そうはいかないよ。パパもママも優秀でいい大学を出ているんだ。僕はあまり勉強が得意じゃないから頑張らないと」
満作N「この子たちは小さな体で必死にスケジュールをこなしているんです」
○白薔薇幼稚園・ホール(戻る)
険悪な雰囲気のホール内。
翼の母「それは保護者に対する批判ですか?」
愛子「(立ち上がり)満作先生は批判しているのではありません。子ども達を心配しておられるのです。そこで、本日は、体育科学博士の指宿先生に来ていただきました」
指宿、立ち上がる。
指宿「満作さんが言った通り、小中学校の先生たちは、今の子どもたちは『疲れた』と訴えることが増えたと感じています。理由として考えられるのは自律神経の発達と不調の問題が考えられます。1956年の時点では子どもたちの自立神経が年齢とともに順調に発達していたというデータがあります。ところが・・・・」
  話しに興味を示す保護者達。
指宿「八十年代になると発達の傾向がみられなくなり、九十年代以降はさらに悪い状況に進行しています。自律神経の調子が悪くなると当然全身の倦怠感や腹痛などの症状が現れ疲れやすくなります。自律神経が発達しないと、ずっと時差ボケのような状態で生きていることになるわけです」
母親たち「(ため息)」
指宿「そしてもう一つ気になるのは脳の問題です。脳科学的に前頭葉機能の低下が子どもたちの  『キレる』原因を作っているということは科学的にもすでに分かっています」
翼の母「確かゲームも前頭葉を働かせない原因になっているとか。ゲーム脳とか言われていますよ ね」
指宿「はい。この前頭葉も69年のデータと比べ、90年代以降の子どもの発達が遅れている傾向にあります」
母親たち「(ため息)」
愛子「キレる子、問題行動を起こす子の場合生活リズムが乱れているのは確かですが、食べる力というのも大切です。小学校で、給食の残菜量が少ないほど運動会の成績がいいという話しがあります。逆に残菜量が多いクラスは授業が成立しにくく、学級崩壊に近い状態になっていたそうです」
彩の母「おっしゃっていることは分かります。でも、御受験のためのお稽古をやめさせることはできません!ここで躓いたらこの先ずっと落ちこぼれの負け犬なんです!」
満作「俺はみなさんの生活や価値観を否定したりしません。ただ、心が置き去りになっている子ども達に2日でも3日でも子どもの心を取り戻してやりたいだけなんです。小川で遊び、虫を追いかけて、夕日が落ちるところをゆっくりと見せてやりたい」
母親たち「・・・」
指宿「ちなみに、子どもの頃、虫捕りを好んでしていた人に科学者が多いんですよ。あの養老孟司 先生も東京大学名誉教授の和田昭充先生もそうですしね」
母親たち「まぁ!(大きく食いつく)」
○同・応接室
  ソファに座る満作、愛子、香織、指宿。
愛子「やはり指宿先生をお呼びしておいて良かった。何とかお母様方を説得することができましたわ」
満作「すみません。僕が話すと逆効果で、お母さん方を怒らせてしまうばかりで」
指宿「愛子さんが僕に満作さんの話しを熱心に薦めてきたんです。僕も満作さんにとても興味が湧いて助っ人にきたんです」
香織「先生のお話、とても勉強になりました。私も園長なんて名ばかりで勉強不足で無知でした。お恥ずかしいです」
指宿「僕は満作さんの取り組みを応援します。子ども達の変化にも注目したいし」 

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○秀次の家・居間
  村の仲間たちが集まっている。
秀次「みんなすまねぇなぁ。いづも満作が無茶を言って」
泰造「幼稚園の親子を預かるって急に言われてもなぁ」
亮太「交流というど聞こえはいいが、三度三度飯食わして金にもならねぇ都市との交流ってやつだっぺ」
秀次「でもよ、農業・農村が良ぐなるには、食べでくれる人たちに、農業の良さを知って来でもらい、一緒に飯を食っで教えでやることが何年、何十年かがっても、結局は一番の近道だっぺ」
  沈黙。
雅治「満作が来で、秀じい変わっだな。悪い意味じゃなぐで、いい意味でだよ」
秀次「あぁ、俺はあいづにインスパイヤーされだよ。こんな老いぼれでも農業のためにやぐにたぢでぇ。こごろからそう思っでる」
泰造「よがっぺ!俺だちも満作のためにインスパイヤーして人肌ぬぐべ」
○農道
  泰造、雅治、亮太歩いている。
泰造「でよ、秀じいの言ってたインスパイヤーって意味、おめしってっけ?」
亮太「千葉の暴走族にもそんな名前あっだような気がすんだけど」
雅治「あぁあっだがもしんねぇ・・・」
○白薔薇幼稚園・前
  止まっているバスに乗り込む親子。
彩の父「いつも満作先生の噂は彩から聞いてますよ。よろしくお願いします」
満作「こちらこそ宜しくお願いします。しかし今まで田植えの時も草刈りでも父親不在でしたけどやっぱり今回も二十五人中、父親は三人ですか・・」
翼の父「僕も本当は忙しくて来られる状況じゃなかったんですよ。家内がうるさくて仕方なく参加したんですから」
潤の父「うちもです。子どもと、どこへ行って何をしたって受験の面接の時に答えられない父親が多いからって、何もしなくていいから黙って同行しなさいと言われました」
満作「はぁ・・なるほど・・・」  
○バス・車中
  前の方はゲームをしている園児たち。
  後部座席ではセレブな会話をしている母親のグループ。
  ひたすら携帯をいじる親たち。
愛子「そういえば満作先生は携帯をお持ちにならないですね」
満作「いつも手が泥だらけですから。それに畑にいる間は作業に没頭したいし、俺の時間を邪魔されたくないんです。というより俺の時間は俺のものでなくて野菜たちのものですから」
愛子「本当に農業を愛しているんですね」 
翼の父「好きなのは勝手だけど、人に押しつけるのは、どうなんですかねぇ。それも子どもにですよ」
翼 「人に押しつけるのはママの方だよ。英語とかピアノとか塾とか僕はちっとも行きたくないのに」
翼の父「そのことについてはパパはノーコメントだな。翼のことはママに全部任せているから」
翼 「でも満作先生は押しつけてなんかないよ。僕たち本当に田んぼと畑が好きなんだ」
翼の父「あ~あ、すっかり満作教祖様になってる。あんまり変な宗教みたいに子どもを洗脳しないでくださいよ」
香織N「胃が痛いわ。この人たちと農家の人達がうまくやれるのかしら・・・」
○同・後部座席
彩の母「そう言えば私立小学校の今年の倍率が出ていましたわよ!」
翼の母「知ってますわよ。何だか心配なので塾のワンランク高いコースに替えようかと思ってますのよ」
潤の母「じゃ、うちもそうしようかしら」
○常磐自動車道
千代田石岡ICの標識。
○八郷・○○スーパー駐車場
満作「この駐車場で松浦泰造という生産者と合流する予定になっているんですけど、まだ来ていないみたいですね」
健人「農家の人達ってどういう人なんだろ。ドキドキするね」
福太郎「僕は昔話みたいに、お爺さんとお婆さんしかいないと思う」
満作「茨城県人は怒りっぽい、飽きっぽい、忘れっぽいという性質から茨城の三ぽいなんて言葉があります。話し方が怖いとか、喧嘩売ってるのか?なんて言われますが、この村の人達はとても穏やかです」  
○バスの横
  二人の男が凄い剣幕で喧嘩をはじめる。
男3「俺のどごは、おがめ派なんだよ!」
男4「デレスケ野郎!くめのを食ってがら言えってんだよ!」
男5「おどげっな!やさとに住んでる人間がやさと納豆食わねぇとは情けねぇなぁ!」
男3「なんだとコノヤロー」
○バス・車中
窓からそれを見ている一同。
愛子「おがめ派、くめ派って何ですの?」
満作「納豆です」
香織「茨城ということで?」
満作「はい」
○狭い道路
  今度は道路で車同士が喧嘩。
男6「(窓から体を乗り出し)この野郎!おめぇ~が譲れ!」
男7「俺はジョイフル本田に用があんだよ!おめぇが譲れ!」
男6「俺は『ばんどう次郎』に行ぐんだ!」
男7「知るが!!」
  結局、どちらも譲らず正面衝突。
その横を通る泰造の車が止まる。
○バス・車中
  園児と母親たち唖然。
泰造がバスに乗り込んで来る。
泰造「おぐれで、すみません」
泰造を見て舞い上がる香織。
香織「あのあの、泰造さんとおっしゃるんですか、先日は名前もしらなくて」
泰造「どうも、どうも」
愛子「あの車の方たち、放っておいてよろしいんですか?」
泰造「あいつらバガですがら」
満作「茨城の人は、意地っ張りでどちらも道を譲らないので、譲るより衝突を選ぶんです・・・ハハ」
泰造「(笑顔で)気にしねぇでいがっぺ。正面衝突は日常茶飯事ですから」
満作「あれは一部の短気な人たちで、本当に穏やかな人が多いんですよ」
愛子「先生、説得力ありませんよ・・・」
満作「めんぼくない・・・」
泰造「じゃ行ぐべが?俺の車に着いで来でくだせぇ」
運転手「(頷く)」
  香織、泰造に見とれている。
                         続く